浪漫飛行の季節②|新清洲駅の歯科・歯医者なら、岡崎歯科

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浪漫飛行の季節②

そしてさらに驚くべきことに、その延長線上で人は自然に恋人をつくり、やがて「結婚」というものまでしてしまうらしい。そんなことが可能なのか。

少なくとも自分には無理だろうと思った。私は人並みではない。女子が笑うような楽しい話などできない。気が利かない。そもそも女子と自然に話す能力など、自分の体のどこにも見当たらなかった。どちらかといえば、気持ち悪がられる側の人間だと思っていた。だから誰かが自分を好きになり、自分もその人を好きになり、それが偶然にも同じ時期に発生し、双方がその事実を確認し合い、さらには人生を一緒に歩くことを決める。結婚。奇跡を何段重ねればそこへ到達するのだ。受験なら、まだ分かった。勉強すればいい。覚えればいい。解けばいい。間違えたら、解答を見ればいい。しかし人が人を好きになることには、赤本がない。

街には米米CLUBの「浪漫飛行」が流れていた。心踊るのはティラミスだった。世の中全体が少し浮かれていた。平成という新しい時代が始まり、みんなが軽やかにどこかへ飛び立っていくように見えた。私はその滑走路の端で、一人、離陸の仕組みを考えていた。どうして飛べるのだろう。

どのタイミングで好きになれば正常なのだろう。

どこからが勘違いで、どこからが恋なのだろう。

そもそも恋とは、始まる前に本人に分かるものなのだろうか。

考えれば考えるほど分からなかった。受験勉強の長いトンネルを抜けた先にあったのは、思っていたよりずっと明るくて、ずっと華やかで、そして少し絶望的な世界だった。

そこでは人が人を好きになっていた。昔からずっとそうだったらしい。これからもずっとそうらしい。どうしようもなく古典的で、どうしようもなく巨大な現実だった。

そして私は、その巨大な現実の入口で、女子が恋の歌を一曲歌ったくらいで惚れそうになることなく、それでも、必死に世界の均衡を守っていた。

院長 岡崎伸一