恐るべき自由③|新清洲駅の歯科・歯医者なら、岡崎歯科

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恐るべき自由③

ああ、あの一人暮らしスタートの三日間。なんという贅沢だったのだろう。しかし、もし今もう一度、あの完全な自由を与えられたなら。私はやはり三日目あたりで、天井を眺めながら呟くのではないか。

「……これが自由なのか?」

人間とは、つくづく厄介な生き物である。

そして、あの日の博多駅。母を乗せた新幹線が遠ざかる。私は歓喜し、母は名古屋へ帰っていった。あのとき母がどんな気持ちだったのか、私は考えもしなかった。私は自由になったつもりでいた。

しかし、部屋を整えてくれた母がいて、毎月仕送りをしてくれる親がいて、その支えの上で、私は自由というものを味わっていたのである。本当の意味で自由になるとは、そうした家族の支えをすべて失うことではまさかあるまい。

自分が何によって支えられているかを思い知り、そのうえで、自分の人生を自分で引き受けていくことなのだろう。私はそんなことすら知らない愚かものだった。気づくまでに、ずいぶん長い時間がかかった。あの日、母に手を振りながら歓喜した青年を、今さら責めようとは思わない。あの恐るべき無邪気さも、根拠のない自信も、知性への滑稽な憧憬も、すべてがあの頃の私だった。ただ、今はもういない母が愚かな息子に掛け値のない愛情を注いでいたこと自体に心が、ふるえる。

そして江藤淳評論全集、八千円。

母に「すみませんでした!」と謝りたい。しかも、一巻半で「読むのしんどいな〜」で頓挫したのだからなおさらである。

恐るべき自由。恐るべき青春。

そして、

恐るべき息子であった。

院長 岡崎伸一