ナイフな言葉、毛布な言葉|新清洲駅の歯科・歯医者なら、岡崎歯科

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ナイフな言葉、毛布な言葉

歯科医師を長く続けていると、不思議なことがあります。治した歯のことは少しずつ記憶の向こうへ遠ざかっていくのに、患者さんに掛けてしまった言葉だけが、いつまでも残っていることがあるのです。

「あのとき、どうしてあんな言い方をしてしまったのだろう」

正しいことを言ったつもりでした。必要な説明だったとも思います。患者さんのため、という気持ちもありました。でも、正しい言葉が、人を傷つけないとは限りません。

言葉には刃があります。こちらにそのつもりがなくても、相手が弱っているとき、不安でいっぱいのとき、その刃は思いのほか深く入ってしまうことがあります。私は、そのことを自分の失敗から知りました。

診療室を出ていく患者さんの背中を見ながら、もう少し優しく言えなかっただろうか、もう少し待てなかっただろうか、と後になって考えたことがあります。何年経っても忘れられないこともあります。あのときの言葉は、今も私の中に小さな十字架のように残っています。だから、もしあなたが診療室の椅子に座って、不安そうな顔をしていたら、私はできるだけ思い出したいのです。怖いですよね。迷いますよね。すぐには決められないことだってありますよね。歯の治療は、歯だけの話ではありません。痛みのこと。
治療期間のこと。費用のこと。見た目のこと。そして何より、「この先、自分はどうなってしまうのだろう」そんな不安を連れて、皆さんは診療室にやって来ます。そんなときの歯科医師の言葉は、ナイフではなく、毛布でありたいと思っています。もちろん、病気のことを曖昧にするための毛布ではありません。現実はきちんとお話しします。難しいことは難しいとお伝えします。それでも最後に、「大丈夫。ひとつずつ考えていきましょう」そう言って、冷えた肩にそっと掛けられるような言葉でありたいのです。

私はこれからも、きっと完璧にはできません。知らず知らずのうちに、強い言葉になってしまうこともあるかもしれません。そんなときは、どうか教えてください。「先生、その言い方はちょっとつらいです」そう言ってくださって構いません。あなたの歯を守ることと同じくらい、あなたがここで怖い思いをせず、ひとりぼっちにならないことを、私は大切にしたいと思っています。

院長 岡崎伸一