無作為の作意 〜セラミックワーク・歯科技工の世界②〜|新清洲駅の歯科・歯医者なら、岡崎歯科

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無作為の作意 〜セラミックワーク・歯科技工の世界②〜

歯科技工士は美術家であり、観察者であり、材料学を扱う技術者であり、そして医療人でもある。私たち歯科医師は口腔内を診察し、治療計画を立て、歯を形成する。しかしその先で、私たちの治療を実際の「形」として表現する最終仕事人、それが歯科技工士である。

私は長く歯科医療に携わるほど、この職業への敬意が深くなっていった。天然歯という、とてつもなく複雑なものを前にして、「こんなものは完全には再現できない」という事実を誰より知りながら、それでもなお少しでも近づこうとする。

写真を見る。模型を見る。患者さんの顔を見る。光を見る。隣の歯を見る。

そして黙々と、一層ずつセラミックを築いていく。焼成炉から取り出された一本の歯を眺め、ほんの少し首を傾げ、また手を加える。おそらく一般の患者さんが、その工程のすべてを見ることはほとんどない。

完成した歯が口の中に入り、「ああ、きれいになりましたね」その一言で治療は終わる。しかし、その「自然ですね」の向こう側には、膨大な観察と判断と経験と、数え切れない試行錯誤がある。自然に見えるものほど、自然にはできていない。

誰にも気づかれない仕事ほど、深い仕事であることがある。歯科技工士が生み出した一本の歯を見るたび、私は思う。人の手は、ここまで自然に近づくことができるのか、と。そして同時に思う。

その仕事が本当に成功した時、その人の仕事は、口の中から静かに消えてしまうのだ、と。人工物であることを主張せず、美しさを誇示せず、ただ昔からそこにあった歯のように佇んでいる。

それは、おそろしく高度な作意の果てにたどり着く、無作為である。

私はその静かな仕事に、いつも感銘を受けている。

歯科技工士。人の口の中に、もう一度「自然」をつくる人たちである。

院長 岡崎伸一