牛丼は終わらない|新清洲駅の歯科・歯医者なら、岡崎歯科

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牛丼は終わらない

学生時代の話。九州は日没が遅い。夏場は日暮れまで練習するともうかなり遅い時間に。練習場は大学教養部近くの下宿からかなり離れていたため原付で通っていた。その日はもう、狂いそうなほどお腹が減っていて、帰り途中にある牛丼の「吉野家」で大盛り牛丼を激しく食べた。美味い!バリ美味い!鬼のように美味い!すると、同じように激しく丼に顔を突っ込む青年がいた。一瞬目が合った。体格に恵まれた彼は学内トレーニングルームでたまに見かけるサッカー部で医学部の確か同級生だ。練習帰りだな、お互い腹減るよなぁ。彼は先に店を出た。私は少し遅れて勘定を済ませ下宿方面に原付を走らせた。が、まだまだ空腹は解消されていなかった。大盛り牛丼を食べたことでむしろ食欲が刺激された。だめだ!どうしても更なる栄養補給が必要だ!何かを食べなくては!ああ、牛丼!やっぱりなんだかんだ言っても牛丼!それしかないよな!だってこんなに美味しいもん!自らと対話しながら福岡那の津通を西へ向かって、果たしてしばらくいったところにある牛丼屋さん「牛心」に入った。大盛り牛丼を頼むと、カウンター角の席でなんとさっきまで吉野家にいた彼がデジャブのように激しく丼に顔を突っ込んでいた。こっちの視線に気付いたのか彼は少し驚いた表情をしたが、すぐに引き締まった表情へと変わり、そして、ゆっくり頷いた。呼応して私も真剣な面持ちで、ゆっくり、頷いた。言葉を交わすことはなかった。私たちは「吉野家」から「牛心」までの10分ほどの時間で同じような生理欲求、選択そして決断のプロセスを歩んだのであった。そう、牛丼はすぐには終わらない。私たちはその瞬間確かに、同志だった。

院長 岡崎伸一