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トイレ籠城受験必勝法①
部活も引退した高校3年生夏、歯科医師になりたいと願っていたが、絶望的に勉強ができなかった。
正確に言うと、1年2年3年とどんどん成績直滑降の底辺生だった。
「現代国語」と「古文」だけは平均点だったが、他の教科はみるも無残な有様、これで国立大学理系を受けると言うのだから担任教師も面談で「う〜ん」と困るしかない。周囲は勉強好きが多く、東大受けるよ、京大受けるよ、などと言っていた。そんなことを口にする連中が無茶苦茶秀才、とも思えず、それだったら自分も本気でしっかり勉強すれば志望する九大くらい受かるんじゃないかなぁ、と(今思えば)軽んじていた。(九大様すみません)
果たして九大受験、不合格だった。
むむむ、仕方がない、勉強不足だ。親に謝り、浪人して来年こそ合格します、私は予備校に通った。通いながらも深夜ラジオハガキ職人やら古本屋通いやら現実逃避もスパイスね、と勝手に自分を甘やかした末、これなら合格ギリギリというレベルでよし今年こそ、と臨んだ翌年九大受験、なんと、と言うかありのままと言うか、不合格だった。
あわわ。これは・・・とんでもないことになってしまった・・・母は半狂乱、父はもう違う道に切り替えたらいい勉強だけが人生じゃない、と。おおおおおお願いです、もう一度、もう一度だけチャンスをください!圧倒的な成績にして受験当日風邪で熱があっても逆立ちしても受かるようにしますから!と言い残し不合格当日から3日間自宅トイレに籠城し「英単語5000」なる本を泣きながら、燃えるように、脳から煙が出るまで隅から隅まで完璧に覚えたのでした。
このままトイレの中でミイラになってもいい・・・それは熱病のようでもありました。
院長 岡崎伸一