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僕はただプリンの上で優しく揺れるカラメルを見ていた②
ある午後、喫茶店に入った。
プリンを頼んだ。スプーンで触れると、プリンがゆっくり揺れる。
その上のカラメルが、静かに波打つ。
僕はそれを見ていた。
そういえば、あの葉書も読まれなかった。
たぶん面白くなかったのだろう。
あるいはもっと面白い葉書が山ほどあったのだろう。
世の中には、読まれる葉書と読まれない葉書がある。
読まれる人生と、読まれない人生があるわけではないけれど、
その頃の僕には、少し似たもののように思えた。
プリンが揺れる。カラメルが揺れる。
ラジオの声は、遠くで誰かを笑わせている。
僕の葉書は、どこかの机の上でただの紙のまま終わった。
でもそれはそれで、そんなものなのだろう。世界はたぶん、そういうものだ。
少し揺れて、少しだけ甘くて、ときどき、少しだけ苦い。
そして僕はそのとき、読まれなかった葉書のことを思いながら、
ただ、優しく揺れるプリンの上のカラメルを静かに見ていた。
岡崎伸一
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