年末まで診療していた旧医院は内部の解体が終了しました。前日までの新医院内覧会では多くのお花やお祝いや励ましのお言葉を頂戴していました。まるで結婚式披露宴のような甘い余韻を引きずり、現地確認でここに来ました。

・・・何もない・・・。

ああ、こんな小さなところでスタッフと手を携えて、患者さんと共に歩んで、多くの人たちと関わりながら歯科医院として歩んできたんだなぁ、と、ちょっとグッときて、ありがとうございました、と一礼したのでした。

新医院は旧医院の課題に対応し、当然のごとく「キレイ」です。でも、

旧医院の、限られた空間で工夫に工夫を重ねた、使い勝手の良さや独特の安心感、真に馴染んだ雰囲気は無二のもの、きっと忘れないでしょう。

やがて、静謐な建物から「もう、お行き。」と言われた気がして、心がザワワなまま、相変わらずの重いガラス戸、だけど何だか愛しいガラス戸を開けてこの場を去りました。

「おいら、負けねぇ！」

何かわかりませんが僕は確かにそれっぽい何かになっていました。　　院長　岡崎伸一