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いつもテンダネス、だけどロンリネス
「ガラス細工のフィーリング」と続く、つい出てしまう青春の残り火フレーズ。昔聴き込んだ曲の断片が、どこかに刷り込まれているのでしょう。牛乳売り場の前で、資源ごみ分別置き場の前で、草むしりの最中に、何の前触れもなくこのフレーズが口から出てくるのです。55歳、いい歳をして、と思うのですが、
止まらない。いや、むしろ、止めたくない!
う〜む、急にカッコよくなってしまいました。
この歌詞が特別シビれたとか衝撃的だったとかではなかった(はず)。でも残っているのです。私の中の青春の残り火フレーズ選手権を突破しているのです。これは一体何なのでしょう?この曲が発表されたのは1987年の冬で高校3年生、受験を控えているというのに成績不振、将来どうなってしまうだろう?と真正面から考える勇気もなく、学校帰り名古屋市営地下鉄にゆらゆら揺られながら、スガキヤの焼豚を思うがままに食べまくりたいとか、庄内川の川べりで「じゃあまた明日ね」と女の子に言われたらどんな気持ちだろう、とか、お嬢様やお坊ちゃまだとか生まれや育ちの幸運がもてはやされる世の中って狂っているぜという憤慨、などなど、ほぼ各駅ごとにいろいろなことに思いを巡らせている中にそれはありました。それは氷室京介が自分だということでした。マイクを握って多くの観衆を、若者を、熱狂の渦に巻き込む稀代のカリスマが、なんと言うことか、勝手に自分でした。武道館ギグの最終日、布袋のギターは空間を、時間を、やがて全てを支配しました。私は圧倒的な熱量で全30曲を全身全霊で歌いきり、場内は一体となり、鳴り止まないアンコールと声にならない嗚咽するような、悲鳴にも似たシンイチコールが湧き上がりました!地響きのようなコールと拍手!同時に自分の中で何かが弾けて、流れる汗にごく自然に涙が合流したのでした!みんなありがとー!忘れないぜー!絶対お前らのこと忘れないぜー!忘れないぜー!ぜー!ぜー!ぜー!
そんなこんなで地下鉄東山線終点の中村公園駅に到着なのでした。
スマホが無い時代の、電車内で、いろいろ妄想しながら視点が定まらないまま呆然とした感じで前を向いていた、女子から見ればただ気味悪いだけの、ある男子高校生のお話。
院長 岡崎伸一
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