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適正な成長発育を逃さないために〜ご家族と私たちが子どもたちと共に歩むために〜
小児期の噛み合わせは、完成された構造物ではありません。発育という時間の流れの中で、日々かたちを変えながら形成されていく、きわめて動的なものです。そのため、ある一時点の状態だけを切り取って 「今すぐ困っていないから大丈夫」 と判断することは、本質的にはできません。成長発育には“窓”があります。骨格、歯列、咀嚼筋、舌や口唇の機能――それぞれが、適切な時期に、適切な方向へ導かれて初めて、無理のない噛み合わせが獲得されます。この時期を逸すると、発育そのものは止まらずに進み続けますが、ずれた方向のまま固定化されていくという現象が起こります。私たちが危惧しているのは、「今すぐの問題」ではありません。数年後、あるいは成人期に至って初めて表面化する問題です。本来であれば比較的軽い介入で修正できたはずの噛み合わせが、適切な時期を逃したために、外科手術を含む大掛かりな治療を選択肢として検討せざるを得ない、そうした人生の分岐点に意図せず立たされてしまうことです。岡崎歯科では、矯正歯科専門医や大学病院と連携し、「今、介入すべきか」「待つべきか」「どこまで様子を見るか」を慎重に検討しています。決して不安を煽るためでも、治療を急がせるためでもありません。将来取り得る選択肢を狭めないために、今できることがあるかどうかを、真剣に考えています。もちろん、現実にはさまざまな制約があることも十分承知しています。経済的な問題、通院にかかる時間、生活環境、兄弟姉妹構成――いずれも軽く扱えるものではありません。また、小児矯正治療の多くは保険適用外であり、その点が大きな障壁となることも理解しています。それでもなお、私たちがこのお話を繰り返しお伝えしているのは、「知らなかったために、後から選択肢がなくなる」状況だけは避けていただきたいと考えているからです。
治療を行うかどうかは、ご家族の判断です。しかし、その判断は「将来起こり得る現実」を十分に理解した上で下されるべきものだと、私たちは考えています。そのため、「ご家族の判断です」と口にするまでに、私たちの考えや懸念がきちんと伝わったかどうかを、何度も振り返り、自問しています。説明が足りないと感じたときには、角度を変え、言葉を選び直し、あらためてお話しすることもあります。その過程で、結果としてご負担に感じられる説明になってしまうことがあるかもしれません。「親として追い込まれている感じがして嫌だった」という声も直接いただきました。ご指摘をしっかりと受け止め、ご家族と寄り添う多角性を心に留めています。それでも「子どもたちと共に歩む」この一点を守り抜く決意だけは変えず、相応に次善策を考え抜きながら、悩みながら、向き合っていきます。義歯やインプラントの選択を迫られる成人の方々を多く見てきました。そのおひとりお一人の、永く遡って成長発育期への歯科医療の適正な介入ということに思いは至ります。今は何も起きていないように見えても、成長は止まらず、時間は戻りません。私たちは、その時間軸を見据えたうえで、お子さんにとって将来もっとも負担の少ない選択肢がどこにあるのかを、ご家族と一緒に考え続けていきたいと考えています。
院長 岡崎伸一
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