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進路相談室〜歯科医師という選択〜
これは中高生向けのメッセージです。将来のことを考えろ、と言われる年頃は、だいたい世界が一番よくわからなくなる時期です。やりたいことは、はっきりしない。かといって、何も考えていないわけでもない。世の中の理不尽さや、空気の胡散臭さには、もう気づいている。でも、じゃあ自分はどこへ行けばいいのかは、まだ見えない。もし今、そんな場所に立っているなら、歯科医師という道を、「そんな選択肢もあるんだ」として、心の隅に置いてみてほしいのです。
歯科医師は、世界を語る仕事ではありません。時代を論破する仕事でも、大きな思想を掲げる仕事ともどこか違います。扱うのは、目の前の一人。しかも、口の中という、驚くほど狭い世界です。
しかし、その狭さの中には、その人の生活があり、痛みがあり、不安があり、これからの時間があります。
歯科医師は、「すべてをわかっている人」には向いていません。
むしろ、わからないことを、わからないまま引き受けられる人に向いています。
この治療が本当に正解なのか。この説明で伝わったのか。この選択は、この人にとって幸せなのか。答えは、いつも後からしかわからない。それでも、考え、悩み、手を動かします。
もし君が、世界を軽く扱えない性分なら、人を単なる数字や効率で割り切れないなら、「正解です」と断言することにどこか居心地の悪さを感じるなら、歯科医療は、十分、居場所となりえるでしょう。
華やかではない。だが、逃げ場でもない。目の前の人から、「先生」と呼ばれる距離で、誠実さが問われ続ける仕事です。歯科医師を目指すことは、「安定」や「資格」を選ぶことだけではありません。世界を丸ごと背負う代わりに、一人の人間を、雑に扱わないと心に決めることと言えます。
進路は、理想の自分への一本道ではありません。今の自分が、無理をせずに立てる場所を選ぶこととも言えます。まだ迷っていていい。むしろ、迷っているなら、歯科医療の世界は、君を急かさないでしょう。ここには、「考え続ける人間」が、ちゃんと居続けられる余地があります。
もしどこかで、世界を理解しきれなかった自分を、持て余しているなら。歯科医師という仕事は、
その未整理な部分ごと、受け入れてくれる底知れぬ可能性を秘めています。ただ、それだけの話、です。最後まで読んでいただきありがとうございます。
院長 岡崎伸一
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