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歯医者の本音⑧ 選択肢を隠さず、一緒に選ぶために
「ここは治療費が高いのでは?」そう感じさせてしまう場面があるかもしれません。
それでも私は、選択肢の提示そのものを控えることはいたしません。将来の後悔を避けるために、「今、考えられる道」を正直にお伝えしたいからです。私たちは保険医療機関です。生活保護を受給されている方、健診がきっかけで初めて歯科を受診される方——どなたにとっても「最初の入り口」でありたいと願っています。最初から、誰一人として見放されないように。健康保険制度は、この国にとって大切な仕組みだと痛切に感じています。岡崎歯科としても療養担当規則を守り、法的に限局された選択肢の中で可能な限りの貢献を考えています。
一方で私は、つねに自問もしています。
「このまま保険の範囲だけで積み重ねて、本当に将来まで歯を守れるのか?」真面目に通ってこられたのに、結果として大きなダメージが残ってしまった・・・そんな自責にかられる症例を数多く見てきました。歯とお口の健康は「サッとなおしてもらって、保険が効いて、悪くなったらまたみてもらおう」的考えで守れる代物ではありません。ご自身の健康を自ら守る知識と生活習慣が礎として不可欠で、もしダメージを負った場合には予後を見据えた診断と、長期の見通しをもつ計画がどうしても必要だと考えています。言い換えればオーダーメイドの、その方の口腔内の状況や傾向に十分に配慮した計画であるべきだということです。その実現には、専門的に高度な知識・技術・設備、そしてチーム連携が欠かせない場合があります。結果として、セーフティネットとしての保険治療の枠を超えた選択肢となり、費用が数十万〜数百万円になるケースもあります。お金の話は、どなたにとっても重たいものです。「なぜそんなにかかるのか」と戸惑わせてしまうことも、「払えない自分が悪いのか」と自分を責めさせてしまうことも、これは私が最も避けたいことです。私の目的は、押しつけることでは断じてありません。いま何が起きていて、どんな選択肢があり、将来どう違ってくるのかを、できるだけわかりやすくお伝えすること。それだけです。最終的に選ぶのは患者さんご自身です。私たちは、どの道を選ばれても伴走します。たとえば、
まずは保険診療でできる範囲から始める/今は対症的に整えて、将来に備えて情報だけ持ち帰る/自費を含む計画に段階をつけ、期間や費用の負担を分散する
そんな「無理のない進め方」も一緒に考えます。知らないまま選べない状況をつくらないこと、「もっと早く知りたかった」を残さないことこそが大切です。歯科医療の力は、その場をしのぐための「サッと直す」だけでは決してありません。岡崎歯科はそうした行為を「治す」とは言いません。
これからの生活を支える口の健康を、一緒につくっていくこと。 それを私たちの使命としています。どうぞ、今の不安やご事情をそのままお聞かせください。最適な道を、いっしょに選びましょう。
院長 岡崎伸一
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