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歯医者の本音⑦ 奇跡としか言えない
私たちは、毎日何気なく「噛み」「話し」「笑い」ながら生きています。その何気なさの中に、実は驚くほど精密で、美しく、そして力強いシステムが宿っていること、薄々感じていらっしゃることと思いますが今あらためて実感してみましょう。
人の歯は、通常28本(親知らずを含めれば32本)。それぞれが決まった場所に生え、役割を分担し、互いに絶妙なバランスを取りながら、私たちの口の中を支えています。前歯は食べ物をとらえ、奥歯はかみつぶす――それぞれが独自の形を持ち、力のかかり方や動きに合わせてデザインされているのです。どの歯も、「替えの利かない一点もの」。それは、機械では到底再現しきれない、自然の叡智の結晶です。
歯の表面を覆うエナメル質は、体の中で最も硬い組織。その内側には、衝撃をやわらげる「しっとり水分を含む」象牙質や、神経と血管が通う繊細な歯髄が守られています。硬さと柔らかさ、強さと繊細さ――そんな相反する要素が、わずか数ミリの中に共存しているのです。しかも、それが一度の食事で何百回も咬合(かみ合わせ)を繰り返し、何十年(100年近く)という年月を働き続けてくれている。当たり前すぎて気づかないけれど、これは間違いなく「奇跡」と呼ぶにふさわしいことです。
私たち歯科医師は、虫歯や歯周病といった「病態」に対応することも仕事ですが、それ以上に大切にしたいのは、この「奇跡」を守ること。あなたの口の中には、自然が長い進化の末に与えてくれた、かけがえのない贈り物があるのです。
もし今、少しでもその贈り物が揺らいでいるとしたら、それは「あなたの口の中の宇宙」に何かメッセージがあるということかもしれません。その声に耳を澄ませ、何がしかののケアを重ねていくことで、その奇跡が維持されるのであれば、あなたと共に生きていけるのであれば、歯科医師として喜んで自然の叡智の結晶に最前線で対応させていただきたいのです。
どうか一度、鏡の前でご自身の歯をじっくり見つめてみてください。ただの「白いもの」に見えていたものが、実は驚くほど深い意味と価値を持つ存在だと気づくことができるはずです。そして、きっと日々の歯磨きとは、尊い存在と相対するする大切な時間なのだと実感していただけるはずです。
院長 岡崎伸一
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