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ヨシヅヤン・ラプソディ
20年前のある日、
ヨシヅヤ清洲店内のATMコーナーでの通帳記入後、
膝から崩れ落ちた。
細かくは書けないが、そういうことだった。
もう、医院は破綻だ・・・
血の気が引いている私に後ろに並ぶご婦人が「大丈夫ですか」と声をかけてきた。
「あああええええだいじょうぶです・・」と答え振り返ると
そのかたは岡崎歯科に通う患者さんだった。
あら先生、とその方が言うと、
後ろに並ぶ数人が一斉に私を見た。
あのひと、何かの「せんせい」なのね〜的視線が注がれた。
混乱の極みで私は
「うぇうぇえへへへへ」と前後不覚な言動とともに波にさらわれてるんですよ的イカの着ぐるみ的動きでフワフワとその場から後退りした。その場の振る舞いの正解を探す反射すら失い、歪む地面の勾配のままによろめきながら立ち去った。
何かを確実に失った気がしたがそれが何なのか分からなかった。
もうこの町で生きていけない・・・
とっぷりと逃避思考に沈んだ。
それから3日ほど、鬼束ちひろの「月光」しか聴く気がしなかった、なぜか。
そして破綻なら破綻で仕方ない、自分は歯医者さんをするしかない、とただただ自分のタスクに集中した。その数日後、同じATMで再び通帳記入した。機械から救いの印字を載せて通帳は出てきた。蘇生したのであった。嗚呼、お金さんありがとう(涙)出てきた通帳を抱きしめる。しばし感動していると後ろに並ぶ人の舌打ちが聞こえた。あ、ごめんなさい、と振り返るとその方も別の男性の患者さんだった。これが私の中でのヨシヅヤン・ラプソディと呼ばれる記録である。
院長 岡崎伸一